小説 ― C R I M S O N  ― episode3 : Forest
   C R I M S O N 
 
   〜第三話〜 Forest

・・チュンチュン・・チチ ・・・ンギォオオ ギャォオオオ

朝。

太陽が昇っている。
一風変わったこの地でもまた一軒の家が、立ちすくんでいる。
見るとこちらもやはり、今にも崩れ落ちそうなボロ屋である。
外からはまるで大自然の中心に居るようにはっきりと、鳥のさえずりが聞こえている。
それどころか"ギャォーギャォー"という轟音としか思えないようなわめき声なども時折聞こえてくる。
それもそのはず、ここは大自然の中心である。

緑の支配する世界―森。

大地には一面木々や花々が生い茂り、湧き上がる生命の感触、深く澄んだ空気がそこにはあった。

その一軒家とは、うねるように二つの木が絡み合い、その間にぱっかりと空いた空間に埋め込まれた木の塊(と言ったら解りやすいだろう)がなんとか家の形をかたどっている、といったところだ。

だがしかし、その中にはちゃんと生活している住民がいる。

木漏れ日と淡い日差しの中、少年が一人気持ちよさそうに眠っている。

「むにゃむにゃ・・・」

「んが、もう朝か」

何かに脅迫されるように、少年は突然目を覚ました。

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