老人は年経ていた 

今は豪華客船に客室フェリー

ダイヤモンドと金の宝石に囲まれ毎日を暮していた

何不自由ない暮らし

昔作った絵の焼き増しがまた50ドルで売れたらしい

それが何だ

何不自由ない不可思議な毎日に

一粒のガラス玉が舞い落ちる

どこから出てきたかこいつは昔よく遊んだビー玉であった

七色に輝くレアものだ

老人は数十年前を思い起こしたようにじーっとそのガラスの輝きをみつめていた


これが10円玉の輝き 


10円玉で世界はこれほど輝いて見えるものなのか


声無き光を 少年は見つめていた

何かが聞こえてきそうな 声なき輝き


その瞳が瞳孔を開いたとき 少年は立ち上がった

何やってんだこの俺は

スーツを捨て ブレザーを脱ぎ

そして裸足でTシャツで

灼熱の大地へ足を駆け巡らせた

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